行動経済学
行動経済学という本を3解説します。
経済学は、人を合理的な存在として扱ってきました。
しかし、実際には合理的に行動しないのが人間です。
人の行動を解き明かす経済学が行動経済学です。
みなさんも、怒りに任せて大損してしまったり、思いつきで的はずれな行動をした経験があるでしょう。
それが人間なのです。
【モンティ・ホールジレンマ】
アメリカのテレビ番組で、3つの扉から正解の扉を当てるゲームがありました。
A、B、Cの扉から回答者がAの扉を選択したとします。
そこで司会者は、Bの扉を開きます。
すると、Bの扉は外れでした。
このとき回答者は、Aの扉を開けるか、Cの扉に変更するか選択することができます。
回答者は扉を変更すべきなのでしょうか。
この問題には、多くの人がAもCも当たる確率は50%だと回答します。
著名な数学者の多くも、そのように考えました。
しかし、Cの扉に変更したほうが、当たる確率は高いのです。
しかも、当たる確率は2倍にもなるのです。
このことは、数学的に証明され、プログラムによる実験でもそのとおりの結果となりました。
【感情が合理性を凌駕する】
人は多くの場合で、合理的に行動できません。
それでは、合理的でない人間は愚かなのでしょうか。
決してそんな事はありません。
まず、人が完全に合理的であると、取引が成立しなくなります。
全員で協力すれば、全体で最も大きな利益が得られるのに、合理的な人間は抜け駆けをします。
全員が合理的であれば、全員が抜け駆けをして、協力関係は成立しないのです。
相手が裏切ることがわかっているから、自分から先に裏切ることが正解となるのです。
人が判断を下す時に、必ずしも十分な情報が揃っているとは限りません。そんなとき、一部の情報だけをもとに、もっともらしい判断を下します。
この手法をヒューリスティクスといいます。これは決して合理的な手法ではありません。
しかし、合理的な考えでは導き出せないような正解を導くこともあるのです。
感情的に行動することが、より良い結果をもたらす場合があります。
例えば、人は裏切り者を、自分が損をしてまで罰する傾向があります。
合理的な人間は、自分が得をしない行為は行いません。
しかしこの合理的でない行動は、裏切りを事前に抑制することにつながります。
合理的ではないことが、相手に正しい行動を引き起こさせるのです。
つまり、時に感情は合理性を凌駕するのです。