【知識とは、人生を楽しむツール】「人生を面白くする本物の教養」
今回は、「人生を面白くする本物の教養」という本について紹介します。
教養を身につけることの重要性について説明されています。
1.教養とは
著者は、教養とは、人生におけるワクワクすること、楽しいこと、面白いことを増やすためのツールであると説いています。
教養を身につけるためには知識が必要ですが、知識だけがあればよいというわけではありません。
広く知識に触れることで、自分がのめりこめるものを見つけることはできるかもしれませんが、知識をもとに自分の頭で考えることこそが教養なのです。
情報をそのまま受け取るのではなく、自分の中で腑に落ちるという感覚を持つことが重要です。
ある調査では、日本の学生は、学生時代に平均100冊ほどの本を読んでおり、欧米の学生は400冊ほどの本を読んでいるという結果が出ました。
教養を身につける意欲は、欧米の学生ほうが高いようです。
また、卒業後の就職先について、欧米ではベンチャー、NPO・NGO、公務員に人気先がばらけますが、日本では安定企業や公務員にばかり人気が集中しています。
これは、学生の質の問題とは限りません。
日本では大学受験、就職活動などの社会システムが、学生から勉強の機会を奪っている側面もあるのです。
2.戦後の教育
「自分で考えない教育」は、戦後の日本で生き抜くうえでは効率的な戦略でした。
目標とすべきゴールが最初から見えていて、ひたすらそこに向かっていくことだけが求められていたのです。
余計なことを考えてしまうと、むしろ時間の無駄となりました。
新卒一括採用や終身雇用制度、年功序列も、戦後の社会にマッチしたシステムだったのです。
働けば働くほど成果の出る社会において、時間をどれだけ会社に捧げるかということが、唯一の評価指針なのです。
常識は、常に疑うべきです。
情報に格差があると、あらゆる市場において、相場が分からずに大きな損をしてしまいます。
常識を疑わなければ、悪意のある人間に騙されてしまうのです。
個人が常識に疑いを持つことで、社会は健全に発展していきます。
情報の格差を解消するためには、誰も知らない機密情報を知る必要などありません。
誰もが知っている情報であっても、深く分析することで隠された情報を引き出すことができるのです。
誰もが知っている情報を、受け売りにしてはいけないのです。
3.教養の学び方
教養を身につけるために、本、人、旅から多くのことを学ぶことができます。
ただし、学ぶことを目的にして取り組んではいけません。
まずは面白いという気持ちから始まり、結果的に物事を学ぶことにつながっていくのが理想です。
好奇心を満たすために行動すべきなのです。
まずは幅広く取り掛かり、興味を持てるものを探しましょう。
たとえば、本を読むときは最初の5ページで見切りをつけるべきです。
そして、読むと決めた本は徹底的に読み込むのです。
【人から学ぶ】
人との付き合いも、面白いかどうかで考えるべきです。
自分の得になるかどうかで考えるべきではありません。
人間関係を人脈として考えていると、自分も同じ様に扱われます。
その場合、利害関係がなくなれば人脈も消滅することになります。
相手と関わることで得になるかどうかという観点ではなく、相手と関わることが面白いと思えるかという観点で人と付き合うべきなのです。
ちなみに私には人脈が一切無いので、気にする必要はありませんでした。
【本から学ぶ】
歴史の本を読むことで過去の人間と対話することができます。
優れた歴史書を読めば、過去の偉人の人生を追体験することができるのです。
ただし、歴史と物語は異ります。
ストーリーありきで、都合の良い事実だけを組み合わせたものを歴史書と呼ぶことはできません。
歴史小説のほとんどは、ストーリー性を重視している分、歴史書としての役割は果たせていません。
著者の意図が反映されていない歴史書だからこそ、過去から学ぶことができるのです。
人が未来に備えるためには、歴史に学ぶことしかできません。
【旅から学ぶ】
教養を身につける目的で旅をしてはいけません。
面白いと思う通りに旅をすべきです。
旅の中で、何かに興味を持ったら、芋づる式に次の旅に発展していくのが理想です。
手頃な目標を設定することも、旅を続ける助けとなりますが、目的なく放浪するのもおすすめです。
海外での旅先では、美術館や教会などに加えマーケットを歩くことおすすめします。
マーケットを見ることで、その国の経済状況を知ることができるのです。
旅においては、五感を使って情報に触れることができます。
一方、本は行くことのできない場所や過去から情報を受け取ることができます。
旅と本は、それぞれにしかない特徴があり、互換関係にあると言えます。
4.一般教養
【公的年金制度】
政治や政策を知ることも教養の一つです。
たとえば、公的年金制度のおおまかな仕組みを知ることで、制度破綻のリスクは低いことが理解できます。
政府が国債を発行できる限り、公的年金制度が破綻することはありません。
年金を支払うお金が足りなければ、国際を発行して補うことができるのです。
国債を発行できない状況とは、国家的危機を迎えている状況であり、国よりも先に金融機関が破綻しているはずなのです。
近代国家においては、国家以上に安全な金融機関は存在し得ないことが証明されています。
【非正規雇用問題】
日本の社会保障制度においては、厚生年金を非正規労働者などにも適用することで、格差の是正に務めることが重要な課題です。
正社員と非正規労働者は、勤務時間で区分けされている。
しかし、そもそも勤務時間ではなく成果を基準に労働者を評価すべきなのです。
一定時間以上働かないと認められない正社員にのみ、社会保障を適用すべきではないのです。
非正規労働者にも厚生年金を適用すると、企業の保険料負担は増えることになりますが、様々な雇用形態で労働者を雇えるというメリットも有るのです。
実際にドイツではこの制度が成功しています。
【少子化問題】
日本が抱えている殆どの問題は、少子化によるものが原因です。
少子化対策こそが、日本が優先すべき政策なのです。
フランスはシラク3原則という方針を打ち出し、少子化を解消することに成功しました。
女性が子供を産みたいときに産める環境を作り、子育てを経済的に支援し、職場復帰をサポートすることで成功しました。
【住宅ローンのリスク】
35年の住宅ローンは時代に適していません。
住宅ローンは経済成長を前提に作られたシステムなのです。
世界的に所得が下がり続けているにも関わらず、同じ金額を35年間も払い続けるというのは、大きなリスクなのです。
家を買うことで、資産を残せるという主張もありますが、住居費用と投資は別に考えるべきです。
将来的に持ち家の価値が維持できるかはわからないため、投資リスクが高すぎるのです。
また、マンションを購入した場合も、後から修繕負担金を求められるリスクが高く、投資対象は慎重に見分ける必要があるのです。
今から住むのに適した物件と、将来価値が上がる物件は必ずしも一致しないのです。
【エネルギー問題】
日本はエネルギーを海外からの輸入に頼らざるを得ません。
国内で産出できるエネルギーでは、供給が間に合わないのです。
これを解消するために原子力発電所が作られました。
しかし、東日本大震災の際にこの原子力発電の抱えるリスクが問題化したのです。
とは言っても、原発を稼働しなければすべて丸く収まるわけではありません。
新興国や途上国におけるエネルギー需要は急激に伸びており、将来的なエネルギー問題に備えなくてはいけない状況なのです。
おわりに
民主主義は、個人がそれぞれ意見を持つことで成り立つものです。
ただただ情報を鵜呑していては民主主義がうまく機能しないのです。
社会問題や時事問題は、枝葉の部分にとらわれず、本質を捉える必要があります。
そのための着眼点としては、まず動機を見極めることが大事になります。
ある情報を入手したら、誰がどのような目的で、その行為をしたのか。
また、どのような目的で報道されたのかを考えましょう。
そして、情報の中から本音と建前を見分けることが重要なのです。
社会人は、職場の一員である前に、社会の一員です。職場に人生を捧げる必要はないのです。
人生において仕事に費やす時間は、全体の2~3割程度に過ぎません。
人間にとって仕事はそれほど重要なものではないのです。
むしろ、仕事をどうでも良いと思ったほうが、職場のためにもなります。
失敗を必要以上に恐れず、思い切った行動にもつながります。
会社での地位を人間の価値のように捉える人もいますが、出世とは単に機能が変わることなのです。
地位が変わっても、人としての価値は変わらないのです。