大学事務に関連する法令について
大学は、多くの法令が定める内容にもとづいて運営されます。
大学に関連する主な法令を解説します。
細かい内容までは触れず、概要を説明していきます。
各法令の全体的な関連性を理解してみましょう。
【日本国憲法】
教育に関しては、憲法に以下のような定めがあります。
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」
これは国民の権利を保障するものですが、この定めを成立させるために様々な法令を設けているのです。
【教育基本法】
日本国憲法の精神に基づいて、戦後の新しい教育理念を確定した法律です。
教育の方針や義務教育についてなど、教育の基本理念と呼ばれるものを定めています。
あらゆる教育関係の法令の基本となっています。
【学校教育法】
日本国憲法と教育基本法で示された教育の基本理念や原則をふまえて、学校教育の制度を具体的に定めた法律です。
学校の種類やその目的・目標・修業年限などを定めています。
また、これを実施するために、「学校教育法施行令」(政令)や「学校教育法施行規則」(省令)が定められています。
【学位規則】
学校教育法にもとづいて、学位というものについて定めたものです。
大学を卒業すると「学士」という学位を修得することができます。
〇〇法といった法律とは異なり、文部省令という、文部省(現在の文部科学省)が制定したものです。
【大学設置基準】
大学を設置するのに必要な最低の基準を定めたものです。
「学生○人を受け入れるのに、○平方メートルの校舎や、○人の教員が必要」というように、大学の規模に応じて守らなくてはならない基準を設けています。
こちらも、文部省の省令で定められているものです。
以上のように、憲法によって定められた教育の精神を、具体的な法律や省令などを定めて実現しているのです。
教育基本法で教育ついての基本方針を定め、学校教育法で小・中・高を含む学校のあり方について定め、大学設置基準で大学に必要な基準を定めているというイメージです。
もちろんこれら以外にも、大学の業務にかかわる法令は様々存在します。
実際に大学で働く職員は、これらの法令に基づいて業務を行う必要があります。
しかし、実務の中でこれらの法令の条文を参照することはほとんどありません。
なぜなら、これらの法令にもとづき、学則や職務規程等が定められていて、職員はそちらを参照して仕事をしているからです。
各種法令で定められていることを、具体的な業務内容に落とし込まなくては、実際に業務をとり行うことは難しいのです。
つまり、各種法令を理解していなくても、業務は遂行できるのです。
しかし、各種法令を理解しておかなくても良いというわけではありません。
常に環境は変わり続けます。
これまでのルールでは対応しきれないケースが発生してくることもあります。
そんなとき、ルールを変えても良いのかという判断は、法令を理解してなければできないのです。