大学職員に求められているもの
大学で働く職員に求められているものについて解説します。
※主に、教務にかかわる業務を中心としています。
なお、社会的に求められるものと、大学が職員に対して求めているものに分類できます。
両者で重なる部分も多いですが、今回は特に社会的に求められるものを説明していきます。
社会的な面から、大学職員に求められるものは大きく分けて2つあります。
ひとつは、関連法規に沿って業務を遂行すること。
そして、教育の質向上に貢献することです。
1.関連法規の遵守
大学の業務は、「学校教育法」や「大学設置基準」といった法令に基づいて遂行されるものです。
大学を卒業した学生には、「学士」という学位が与えられます。
これは、学校教育法に基づき、日本政府が公認している称号です。
学位を付与するためには、法令に則って大学を設置し、授業を実施し、単位を認定していかなければなりません。
もし、関連法規から逸脱するようなことがあれば、正式な学位を付与することができなくなってしまいます。
つまり、せっかく大学を卒業したのに、大卒資格が得られないことになってしまうのです。
また、大学は、私立の学校も含め、国からの補助金をもらって運営されています。
法令を無視することで、この補助金が打ち切られてしまうリスクがあります。
大学には、独自の「教育改革」が求められますが、なんでも自由にやっていいというわけではありません。
定められた基準をクリアした上で、さらなる改革が求められるのです。
2.教育の質向上への貢献
法令に沿って業務を遂行していても、現状維持にしかなりません。
しかし、社会環境は刻々と変化していきます。
常に技術進歩を重ねている社会において、その場で立ち止まっていては、置いていかれてしまいます。
従来どおりの教育を繰り返すのではなく、社会の進歩に応じて、さらには未来の変化まで見据えた教育を実現する必要があります。
ひとつひとつの授業については、教員一人ひとりの努力で改善していくことは可能です。
しかし、大学として、全体の改革を実現するためには、大学職員の力が不可欠なのです。
たとえば、教育改革の取り組みの一つとして「単位互換制度」というものがあります。
本来、学生は自分の学科に指定された授業を受けなければ、卒業に必要な単位を満たせません。
単位互換制度というのは、別の学科の授業を受講して、自分の卒業要件に含められる制度です。
これにより、他の学科の授業が受けられるようになるだけでなく、他の大学の授業、を受けられるようにもなります。
自分の大学・学科にはない授業を受けられることで、柔軟に学習の幅を広げることができます。
たとえ同じ学科であっても、研究分野は幅広く存在します。
担当教員の専門分野と、学びたい分野が一致するとは限りません。
授業選択の幅を他大学の授業にまで広げることで、本当に学びたい授業を学ぶことができるようになるのです。
このように、個々の授業を改善するというだけでなく、制度面で教育の質を改善するなどの取り組みが求められています。