もさおのためになる話

もさおが、ためになる話をします。

【思考の近道と、そこに潜む罠とは?】「影響力の武器」

影響力の武器という本を1,000字で解説します。

この本では、他人の行動を誘導する効果的な武器を6つ紹介しています。

 

 

1.思考の近道

人の脳の処理能力には限界があります。

この処理能力に余裕を持たせるため、思考の近道を利用して、頭を使わずに行動しています。

この思考の近道は万能ではありません。

 

思考の近道に潜む落とし穴を利用したものが、影響力の武器なのです。

 

2.返報性のルール

影響力の武器のに「返報性のルール」があります。

人は、恩を受けると返さずにはいられません。

嫌いな人からの恩に対しても、下心があるとわかっている恩に対しても、恩返ししなくてはと考えてしまうのです。

 

この特性を利用して、人に何かを依頼する際には、先に何かをあげてからお願いをすることで、依頼を引くけてもらいやすくなります。

もらったのだから、何かを返さなくてはという考えを利用して、与えたものより大きなお返しを引き出すことができるのです。

 

返報性のルールは、実際に何かを与えなくても生じさせることができます。

それは、譲歩するという行為によって生じます。

大きな要求を出し、相手に断られたら、要求を小さくするのです。

 

そうすることで、何も与えていないにもかかわらず、相手は恩を感じるのです。

譲歩してくれたのだから、自分も何かしてあげなくてはと考えるのです。

 

3.一貫性の罠

影響力の武器に「一貫性の罠」というものがあります。

人は、たとえ損をしても、自分の一貫性を保とうとします。

一度宣言してしまったことに対して、もう後には引けなくなるのです。

 

たとえば、車を購入する際、購入すると言った後にオプションで料金が上がっていったとしても、購入する意思を覆す可能性は低いのです。

まずは購入することを承諾させてしまえば、その後条件を悪くしても受け入れてしまうのです。

 

一貫性の罠を利用したものに、加入儀礼というものがあります。

ある組織に入るために、あえて大変な課題を課すというものです。

これだけ大変な思いをして加入したのだから、それだけ自分はこの組織に入りたかったのだと錯覚するのです。

 

加入儀礼は無意味で大変な行為であるほど、その組織から抜けにくくなります。

結婚式も、離婚を防ぐための加入儀礼だと言えます。

 

おわりに

影響力の武器は、他人を思い通りに誘導することに利用できます。

また、自分が思考の落とし穴にはまるのを防ぐことにも繋がります。

 

人の能力には限界があります。

限界を知ることで、それを利用することができるのです。

【褒めるべきか叱るべきか】「人はどう育つのか?」

誰かを教育する際、厳しく接するべきか、優しく接するべきか悩むことがあるかと思います。

また、自分が何かを学びたいとき、厳しい人に教わるべきか、優しい人に教わるべきか悩むこともあるかと思います。

 

人は、褒められて成長するのでしょうか、それとも叱られて成長するのでしょうか。

 

 

 

1.人は”育てる”ではなく”育つ”もの

はっきり言ってしまうと、「あなたがどんな教え方をするか」よりも「あなたがどんな人間であるか」のほうが重要です。

 

人は人を見て学びます。

 

あなたを真似ることから学修が始まるのです。

まずは教え方を考えるより、自分がどんな人間であるべきかを考えましょう。

 

人は学習するようプログラムされています。

受動的に教わるのではなく、自ら学びに行くものです。

 

「勉強しなさい」と指示することは、勉強のモチベーションを上げるためには逆効果であるということが分かっています。

親が指示することにより、子供の自主性と学習意欲を奪うことになります。

 

一方的に支持を出すのは逆効果ですが、「一緒にやろう」と声をかけることは効果的です。

「一緒にやる」というのは、必ずしも、相手と一緒になって同じ問題に取り組む必要はありません。

子供が勉強している横で、無関係の本を読んでいるだけでも良いのです。

 

重要なのは、自分が勉強していることを子供に見せ、それを真似させることです。

 

2.褒めるべきか叱るべきか

本題に戻ります。

例えば、子供が100点満点で50点の成績となりました。

このとき、取れた50点を褒めるべきでしょうか。

それとも、取れなかった50点を叱るべきでしょうか。

 

子供を叱ることで、次はもっと良い点を取らなくてはと思わせることができます。

しかし、落ち込んでモチベーションを失うリスクもあります。

逆に、褒めれば落ち込むリスクは低くなりますが、次は頑張らなければというプレッシャーはありません。

 

褒めるべきなのか、叱るべきなのか。

それは、場面によって異なります。

 

たとえば、なにかに挑戦し始めた初心者の頃は、できたことを褒められた方が良いことが分かっています。

はじめからダメな部分を指摘されていては、モチベーションが続きません。

 

逆に、ある程度熟練度が上がると、できていない部分のフィードバックの方が効果的となります。

褒めるか叱るかとは若干意味合いが異なりますが、教える相手のレベルに応じて教え方を変えるべきなのです。

 

【正しい褒め方】

子供の自主性と学習意欲を重視するならば、正しく褒めることが重要となります。

先程の例で、テストの得点を褒めてはいけません。

結果を褒めても、次の努力にはつながりません。

自己肯定感は高まるかもしれませんが、同時に学習意欲が低下してしまいます。

 

褒めるときは、努力したことを褒めましょう。

本を読むことや、勉強したことを褒めた場合、学力が向上することが分かっています。

行為を褒めることが、その行為を続けるモチベーションとなるのです。

結果を褒めれば、また同じ結果を出す意欲は湧くかもしれませんが、そのために努力しようというところまで直結しないのです。

 

【叱るべき時とは】

叱ったほうが良いと考えられるのは、以下のような場合です。

 

①明らかに、やればできたのにやらなかった場合

頑張ったけどダメだったという場合に叱るのは逆効果です。

しかし、やれば確実にできるのに、特に理由もなくやらなかった場合、まずは行動を起こさせる必要があります。

「だらしなさ」はある程度矯正しないと治らないものです。

ただし、だらしなさが原因なのか、そうでないのかの線引が難しいところです。

 

②命の危険に関わるようなリスクを犯した場合

人は失敗を経験して学びます。

はじめから失敗すると分かるようなことでも、経験することは大事なのです。

しかし、一度の失敗が自分や他人の命の危険に関わるような行為は、未然に防がなくてはなりません。

そのような行為につながる行動をした際には叱らなくてはなりません。

 

3.褒めるべきでも叱るべきでもない

褒めたほうが良い場合や、叱ったほうが良い場合について説明しましたが、アドラー心理学では褒めても叱ってもいけないと説かれています。

確かに、筋の通った考え方なので、簡単に紹介します。

 

叱るという行為は、相手を自分の思い通りに支配するための行為であって、教育ではありません。

褒めるという行為も、相手を自分の思い通りに誘導するための行為であって、教育ではありません。

どちらも、自分の考える正しさを相手に押し付けているのです。

 

大事なのは、叱ることも褒めることもせず、ありのままの相手を認めることです。

教育者にできるのは、相手が自立しようとすることを促すことだけなのです。

「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」のです。

 

理想論かもしれませんが、これが教育の本質なのかもしれません。

【ヒューリスティクスとは?】「行動経済学②」

今回は、人が行動する際に、どのような手がかりを用いて判断を行うのか解説したいと思います。

 

 

1.ヒューリスティクス

問題解決において、明確な手がかりがない場合に、便宜的に用いる手段をヒューリスティクスといいます。

不完全ではありますが、一般的には問題解決に役立つ方法です。

 

ヒューリスティクスは多くの場合、簡易的に正解を導くのですが、時に大きな誤りを招くこともあります。

 

たとえば、人が確率を認識するとき、ヒューリスティクスによって、偏った判断をしがちなのです。

 

【代表性の罠】

ヒューリスティクスの一つに、「代表性」の罠というものがあります。

たとえば、大きな病院で一日に平均45人、小さな病院で平均17人の子供が生まれるとします。

 

生まれる子供の男女比は平均すると50%となりますが、日によってばらつきが生じるものです。

男児が生まれた割合が60%以上となった日は、大病院と小病院でどちらのほうが多いでしょうか。

 

この問いに、多くの人はどちらも同じであると答えます。

しかし、母数が多いほど平均値に近い値が出やすく、逆に母数の少ない小病院のほうが男女比にばらつきが出やすいのです。

 

そのため、この問題では小病院が正解となります。

 

 

【少数の法則と平均への回帰】

母数が少ないと値に偏りが生じやすく、人はこの偏った値から物事を判断しがちです。

これを「少数の法則」といいます。

 

たとえば、20回のコイン投げの途中で、5回続けて表が出たら、次は裏が出る確率の方が高いと考えがちです。

実際には、表も裏も50%なのです。

 

何事も、短期的には値にばらつきが生じますが、長期的には平均値に近づいていきます。

これを、「平均への回帰」といいます。

 

たとえば、1度目のテストの結果だけをもとに、高得点の学生を評価してしまうと、2度目のテストで成績が下がるリスクが有るのです。

結果の良かった学生を褒めたら次の結果が悪くなり、結果の悪かった学生を叱ったら次の結果が良くなったとしても、叱る教育が正しいわけではありません。

平均への回帰が生じただけなのです。

母数が少ないと、それが実力なのか偏りなのか判断する事はできないのです。

 

【利用可能性】

ある事象が出現する確率を判断するときに、直近の事例や顕著な事例を思い出し、それをもとに判断を下すことを、「利用可能性」といいます。

 

地震があった直後は、地震に対するリスクを高めに見積もってしまうことなどが当てはまります。

しかし、容易に思い出す事例が、確率の判断に適していないものであると、導き出される答えも誤ったものとなります。

 

たとえば、自動車事故と飛行機事故による死亡リスクについて、実際には自動車事故の死亡リスクが圧倒的に高いのですが、ニュースで大きく報道されがちな飛行機事故の方が、死亡リスクが高いとみなされやすいのです。

 

利用可能性がもたらすバイアスに、「後知恵バイアス」というものがあります。

結果を知った後に、あたかも初めからそれを知っていたかのように振る舞うバイアスのことです。

 

実験では、被験者にアガサ・クリスティが書いた本の数を予測させたところ、回答の平均値は51冊でした。

そして、後日被験者に正解が67冊であることを伝え、自分が何冊と予測していたか聞いたところ、平均値は63冊に上昇したのです。

 

人は、後から自分の考えていたことを正解に近づけようとするのです。

 

ヒューリスティクスは必ずしも誤りを導くわけではありません。

完全に正しい決断をするには、すべての情報を集め、それに基づくすべての推論を立てて選択を行う必要があります。

しかし、それは現実的な方法ではありません。

 

むしろ、情報量の少ない人の方が、ヒューリスティクスによって正しい判断を導くこともあるのです。

人は、常識というヒューリスティクスによって、これらのプロセスをショートカットして、もっともらしい決断を下すことができるのです。

 

2.二重プロセス理論

二重プロセス理論では、人は直感的プロセスであるシステム1と分析的プロセスであるシステム2の、2つの情報処理システムを通じて物事を判断するとされています。

 

システム1は一般的な広い対象に適用されるシステムで、人間と動物の両方が持っています。

システム2は人間にしか備わっておらず、標準的な経済学はシステム2だけを備えた人間を想定しています。

 

人は、2つのシステムを連携して物事を判断するのです。

たとえば、将棋のプロは次の一手について、システム1で大まかに絞り込み、システム2で決定を下しています。

システム1で出した結論を、システム2が修正する力は弱いと考えられています。

 

直感的に間違えやすい問題があります。

「ノートと鉛筆を買ったところ、合計110円で、ノートは鉛筆より100円高かった。鉛筆の値段はいくらであるか5秒以内に答えよ。」という問いに、大抵の人が10円と回答してしまいます。

 

システム2によって回答を修正する時間がなかったり、脳が十分に機能していない状態だと、特にシステム2による判断力は低下するものです。

 

3.プロスペクト理論

プロスペクト理論においては、人の価値判断におけるバイアスを価値関数で表しています。

この価値関数には3つの特徴があります。

 

①「参照点依存性」

人は、絶対的な評価ではなく、参照点からの変化・比較に基づき価値を測ります。

年収4,000万円から年収1,100万円になった人よりも、年収1,000万円から1,100万円になった人のほうが幸せであると判断されやすいというのが、その一例です。

 

②「感応度逓減性」

利得や損失について、それが小さいほど敏感に反応し、値が大きくなるにつれて、小さな変化の感応度は低減していきます。

たとえば、年収が300万円から400万円に上がった人のほうが、年収1,000万円から1,100万円に上がった人よりも、幸福度の向上が大きいのです。

 

③「損失回避性」

人は、同じ値であっても利得より損失を大きく評価します。

たとえば、1,000円貰える確率と1,000円失う確率が50%ずつのくじを、ほとんどの人は引こうとしないのです。

 

 

4.保有理論

人は、あるものを所有していると、それを持っていない場合より高く評価します。

これを「保有理論」といいます。マグカップかチョコレートバーのいずれかをもらえるという実験では、殆どの人は最初に渡された方を選択しました。

 

最初にマグカップを渡されたグループは、89%の人がそのままマグカップを選択し、最初にチョコレートバーを渡されたグループは、90%の人がそのままチョコレートバーを選択したのです。

 

一方で、最初から好きな方を選ばせたグループでは、ほぼ半々の選択となりました。

 

現状維持バイアスも、これと同様の現象です。

人は今の状態をキープしたがるものです。

なお、選択肢が多いほど、現状維持バイアスは生じやすくなります。

 

5.フレーミング効果

思考の枠組みが異なることで、導き出される答えが変わることをフレーミング効果」といいます。

 

人が600人は死ぬ病気があるとして、対応策を選択させる実験を行いました。

600人のうち

①200人が助かる。

②1/3の確率で全員助かり、2/3の確率で誰も助からない。

という選択肢では、72%の人が①を選択しました。

 

しかし、選択肢を

①`400人が死ぬ。

②`1/3の確率で誰も死なず、2/3の確率で全員死ぬ。

とした場合、78%の人が②`を選択しました。

 

これは表現を変えただけで、内容は全く同じものです。

人は、判断対象を利得とみなすのか損失とみなすのかで、リスクを追求するか回避するか変わってくるのです。

 

6.メンタルアカウンティング

人は金銭価値を評価するとき、総合的な尺度ではなく、比較的狭いフレームを用いて、非合理的な判断をします。

これをメンタルアカウンティングといいます。

 

例えば、就職先を検討するのに、年収ばかりを重要視して、他の条件を無視しがちになります。

また、このメンタルアカウンティングによって、サンクコストが高く評価されるのです。

一貫性を確保するために、失敗が目に見えていても投資を続けてしまいます。

さらに、これまでつぎ込んだ投資を無駄にしてはいけないというヒューリスティクスが、サンクコストに対して生じているのです。

 

また、子供よりも、大人の方がサンクコストを考慮しがちです。

これは、大人になるにつれてヒューリスティクスが形成されていくためであると考えられます。

 

 

 

つづく

【人の行動を読み解く】「行動経済学」

今回は、行動経済学という本について紹介します。

従来の経済学では、人の行動を合理性という観点だけを要素にして定義されていましたが、実際には必ずしも合理的な行動を取らないのが人間です。

 

行動経済学とは、実際に人はどのように行動するのかという観点に着目した経済学です。

 

 

1.経済学の矛盾

【合理性の限界】

経済学において、人は経済人という神のような、超合理的な人物として想定されています。

経済人とは、完全に合理的であり、自己利益のみを追求する人物です。

つまり、すべての選択肢の中から、最も効用の高い選択をし続けるということです。

しかし、ありとあらゆる情報を得ることも、それの効用をすべて分析することも現実的ではありません。

 

高性能なコンピューターでも、最も効用の高い商品の組み合わせを判定するのに、商品数が30の場合約18分、商品数が40の場合約13日、商品数が50の場合約36年の計算時間を要すると言われています。

 

【経済学擁護論】

従来の経済人論を擁護する主張もあります。

その一つが「主体が合理的でなくとも、合理的であるとみなすことで、行為を予測することができる」という考えです。

 

人間は完全合理的ではありませんが、最終的には完全合理的な行動を選択しているのだという主張です。

しかし、現実には、無償献血無人野菜売り場などのように、合理性では説明しきれない行為がいくらでも存在しています。

この擁護論は正当とは言えません。

 

また、「他に適当な理論が見当たらないため、暫定的に合理的性理論の立場を取るべきである」という主張もあります。

確かに、現時点での行動経済学に、標準的な経済学を覆すほどの理論体系は備えていませんが、今後多くの経済学者が資源を投下することで、この状況は覆ると考えられます。

 

そして、「経済学は規範理論であって、実際に人がどう行動するかではなく、どう行動すべきかを説明しているものである」という主張もあります。

 

しかし、人は必ずしも合理的かつ私益追求を目的として生きるべきとは限りません。

そもそも、人はどう行動すべきかを説明するためには、もともとがどうであるかを知っておく必要があるのです。

 

2.行動経済学とは

 

行動経済学とは、人は実際にどう行動するのか、なぜそうするのか、その結果何が生じるのかということを体系的に究明することを目指す経済学です。

 

行動経済学は、人の完全合理性を否定していますが、合理性そのものを否定しているわけではありません。

人の合理性には限界があるという限定合理性の立場をとっているのです。

合理性以外にも、感情によって人は行動するものです。

 

感情の研究は心理学の分野ですが、もともと経済学と心理学はつながっていたのです。

しかし、現在の標準的な経済学が成立するに連れ、この2つが切り離されて考えられるようになりました。

 

行動経済学の歴史】

1956年9月11日に認知心理学が誕生しました。

認知心理学は、従来の心理学と異なり、人間は刺激に反応して動くのではなく、情報を処理して行動するものであるとみなしています。

 

行動経済学の誕生は、1976年のプロスペクト理論の提唱が始まりです。

経済学に、認知心理学の考えを取り入れたのが行動経済学なのです。

そして、現時点の行動経済学は、経済学との相違点を説明する証拠収集段階から、体系化や理論化、政策提言の段階に進んでいると言えます。

 

3.モンティホールジレンマ

モンティホールジレンマという確率の問題があります。

ドアが3つあり、どれかひとつが当たりです。

 

最初にひとつのドアを選択したところで、残り2つのうち片方のドアが開けられて、それが外れであることが分かるとします。

このとき、再度ドアを選択する権利が与えられた場合、最初に選んだドアか、残りひとつのドアどちらを選択するのが正解でしょうか。

 

例えば、ABCのうち、Aのドアを選択した後、Bのドアが外れであることがわかります。

そのとき、最初に選んだAを選択する場合と、Cに変更する場合のどちらが正解でしょうか。

 

多くの人は、最初に選んだドアを選択します。

少なくとも、変えても変えなくても確率は変わらないように思えます。

どちらのドアも正解率は1/2なのではないでしょうか。

しかし、実際には最初に選んだドアの正解率は1/3で、残りのドアの正解率は2/3なのです。

 

このルールでは、最初に外れを選んでいればドアを選択し直すことで正解を開けます。

最初に外れを選ぶ確率は2/3なので、最初に選んだドアが正解である1/3より、確率が2倍になるのです。

この問題には多くの著名な数学教授ですらも間違えました。

 

印象で物事を判断すると、時に誤った選択をしてしまうのです。

大事な選択は論理的に検討すべきです。

サッカーのペナルティキックでは、キーパーの正面に蹴るのが最も成功率が高いのです。

 

しかし、私が学生時代にPKを正面に蹴ったところ、運悪く止められた結果、チームメイトにリンチされ殺害されました。

 

4.事前確率の無視

信頼性が99%の検査で陽性と判定された場合、感染症に感染した確率は99%となるでしょうか。

必ずしもそうとは限りません。

 

たとえば、この感染症の感染率が0.01%であれば、100万人のうち100人の感染者が出ることになります。

この感染率のことを事前確率といいます。

 

信頼度99%の検査では100万人のうち、実際の感染者である99名と、本当は陰性である9,999人が陽性と判定されることになります。

つまり、陽性と判定されるのは10,098人であり、実際の感染者は99名なので、陽性と判定された人の感染率は約0.98%となります。

 

このように、事前確率を無視することで誤った回答を導いてしまうことがあるのです。

 

5.思考のステップ

1から100までの数字から、任意の整数をひとつ選択します。

選択した値が、グループの全員が選択した平均の値の2/3に最も近かった者を勝者とします。

このゲームで勝つには、どの整数を選択するのが正解でしょうか。

 

整数をランダムに選択した場合、平均値は50となるので、2/3の33が正解となります。

しかし、他の参加者もこれを予測すると平均値は33となるので、2/3の22が正解となります。

この推論を繰り返すと、最終的に正解は1となります。

 

しかし、1という答えにたどり着くには、8つのステップを踏む必要があり、他の参加者がどこまで推測するのか予測する必要があります。

実験の結果、実際の平均値は、25~40程度でした。

 

心理バトル系の漫画では、相手の裏を読んだり、裏の裏を読んだりするシーンがよく登場します。

相手がどこまで読んでくるかという推測が難しいのです。

 

6.最終提案ゲーム

最終提案ゲームと呼ばれる実験があります。

1,000円を自分と相手で、自分の好きな配分で分け合うことができます。

ただし、相手には拒否権があり、拒否した場合はふたりともお金をもらうことができないというものです。

 

互いに合理的であれば、999円を取得し、1円を渡すのが正解となります。

しかし、あまりに不公平な金額を提示すると、相手に拒否されることが多かったのです。

実験では、提案者は平均で30~40%程度を相手に渡す提案を行いました。

 

ルールを追加して、受け取る側が、提案者に対し不満などを伝える機会を設けた場合は、不公平な提案でも拒否されにくくなりました。

最初のルールでは、相手に不公平感についての不満を伝える事ができなかったため、損をしてでも受け取りを拒否することで不満を伝えたかったのだと考えられます。

不満を伝えるために、損をしてでも受け取りを拒否するという選択を行っているのです。

 

7.囚人のジレンマ

囚人のジレンマという有名な実験があります。

 

ある事件の容疑者としてA、Bの2名が容疑者として逮捕されています。

容疑者には自白か黙秘かの選択肢が与えられます。

自分が自白して、相手が黙秘した場合、自分は無罪となります。逆に、自分が黙秘して、相手が自白した場合は懲役8年となります。

2人共黙秘した場合はどちらも懲役1年、2人共自白した場合はどちらも懲役5年となります。

 

お互いに黙秘するのが最も良い判断に思えますが、合理的に考えると自白を選択するのが正解となります。

合理的な推論の結果、「最悪ではないが悪い選択肢」を選ぶことになってしまうのです。

 

しかし、人は完全に合理的な存在ではありません。

実際には多くの人が黙秘を選択します。

ときには、合理的でないからこそ、互いにとって最善の選択をすることができるのです。 

 

私の場合は、どれだけ自白を強要されたとしても、コミュ障なので黙秘することになります。

【非認知能力】-数値にできない人間の力-

数値にできない人間の価値-非認知能力とは?-

 

IQや偏差値、年収など、人の能力を測る基準はいくつも存在します。

このような数値と、将来の成功にはどれだけの関係があるでしょうか。

 

単純に考えて、IQの高い人のほうが、低い人よりも成功しやすいように思います。

確かに、成功者にはIQの高い人が多いのは事実です。

しかし、IQが高くても成功しない人は多く、IQが低くても大きな成功を手にする人はいます。

IQの高さは、一つの武器にはなり得ますが、成功に直結するわけではありません。

 

それでは、成功に直結するような能力とは、どのようなものなのでしょうか。

それは、「非認知能力」と呼ばれるものです。

 

 

1.マシュマロ実験

海外で有名な「マシュマロ実験」という、4歳の子供を対象にした実験があります。

研究員は、子供の目の前にマシュマロを1個用意し、

「15分間食べるのを我慢できれば2個目のマシュマロをあげる」

と約束してその場を離れるというものです。

 

この実験では、マシュマロを我慢できた子供は約1/3となりました。

数値化はできませんが、マシュマロを我慢できた子供は、我慢できなかった子供より自制心が強いと考えられます。

 

子供の頃の自制心が、将来どのように影響するのかは、この10数年後に行われた追跡調査によって明らかになります。

マシュマロを我慢できた子供と、そうでない子供の間に、何か違いは現れたのでしょうか。

 

追跡調査の結果、自制心が高かった子供は10年以上経過しても、相変わらず自制心が高い傾向がありました。

さらに、学力試験における結果も、高い傾向がありました。

この結果は、さらに10数年以上後に行われた追跡調査でも同様でした。

つまり、幼少期の自制心の高さが、生涯の学力の高さに影響していたのです。

 

2.GRIT

将来の成功に直結すると考えられている非認知能力に、「やり抜く力」があります。

やり抜く力は「GRIT」と呼ばれています。

度胸(Guts)・復元力(Resilience)・自発性(Initiative)・執念(Tenacity)の頭文字を取ったものです。

 

どれだけ基礎能力が高くとも、難しいことに挑戦すれば、簡単には成功に至りません。

 

「成功とは、多くの失敗を経てこそ到達できるものである」(出典:『もさおの名言集』)

「失敗なき成功は、偶然に過ぎない」(出典:『もさおの名言集』)

これらの言葉のとおり、1度の失敗で挫けていては、成功にはたどり着けないのです。

 

たとえ失敗しても、自分が成長することで、次は成功できるかもしれません。

また、常に環境は変わっていくものです。

環境が変わることでも、次は成功できるかもしれないのです。

いずれの場合も、諦めてしまったときにだけ失敗が訪れます。

 

3.マインドセット

GRITは、能力だけではなく、価値観によっても大きく影響を受けます。

成功を信じて多くの失敗を経験することは、忍耐力を要するものです。

 

どれだけの失敗に耐えられるかは忍耐力の強さが鍵となりますが、そもそも、「何度失敗してもやがて成功にたどりつける」という考え方を持っていることが前提となります。

 

このような、価値観や物の見方のことをマインドセットといいます。

 

人の能力は生まれ持った才能で決まるという固定的なマインドセットを持っている人は、度重なる失敗を乗り越えようという考えが生じません。

たとえ、強靭な忍耐力を備えていても、失敗のリスクに挑戦しようとは考えないのです。

 

非認知能力を鍛えることも重要ですが、成長につながるマインドセットを持つことも重要です。

人は成長するものだというマインドセットを持ち、目に見える数値にとらわれないことが、将来の成功を導きます。

 

4.おわりに

テストの成績や、年収などの値は、”今まで”の結果に過ぎないのです。

これからの人生の結果は、”これから”の自分が生み出します。

数値にできない能力にこそ目を向けて、成長のために足を踏み出しましょう。

 

「”成長”こそが人間に与えられた最強の武器である」(出典:『もさおの名言集』)

【1,000字で解説】「スタンフォードの自分を変える教室」

スタンフォードの自分を変える教室という本について1,000字で解説します。

 

 

1.本能を利用する

人の脳は変化を拒絶します。

そのため、自分を変えるには、科学的に正しい方法で取り組む必要があります。

本能に逆らってはいけません。

本能を利用して、思い通りの自分を目指しましょう。

 

まず、意思の力を発揮させるために、呼吸を落ち着かせましょう。

ゆっくり呼吸することで、心拍数が低下します。

この心拍数の低下度合いが大きいほど、意志力を向上する効果が高くなります。

 

本能的な行動を抑えたい時、まずはゆっくり呼吸をしてみましょう。

 

2.罪悪感を持たない

自分の行いを良い、悪いで判断するのは止めましょう。

良いことをすると、そのご褒美に悪いことがしたくなってしまいます。

 

たとえば、ダイエット中に、食事を我慢するのを良いことだと考えていると、食事を我慢したご褒美に、たくさんの食事がしたくなるのです。

行動を「良い」「悪い」で考えるのではなく、常に目標に向かって、ちょっとでもマシな選択を続けることが効果的です。

 

脳は変化を嫌いますが、習慣は大好きです。

脳が嫌がらないよう、ちょっとずつ変化させて習慣化してしまうのが、自分を変える近道なのです。

 

3.脳の快楽物質

脳内物質のドーパミンは、報酬を手に入れた瞬間ではなく、報酬が手に入ると予感した時に発生します。

目の前にご褒美がぶら下がっているときにドーパミンが生じ、ご褒美を手にすると発生しなくなるのです。

 

この効果を利用し、購買意欲を刺激する仕組みが世の中には溢れています。

しかし、ドーパミンに従って商品を購入しても、幸福を得られるとは限りません。

いつまでも手に入らないご褒美を、求め続けることになるのです。

 

ドーパミンは、幸福を感じる物質ではなく、幸福を追求させる物質なのです。

この効果を利用して、やりたくないことを実行する手助けにすることはできます。

ご褒美は、手に入れた瞬間より、追い求めている瞬間の方が楽しいのです。

ご褒美を追い求める仕組みを作り、思い通りの行動につなげましょう。

 

まとめ

やってはいけない行為をつい行ってしまった際に、罪悪感を感じるべきではありません。

罪悪感を感じる人ほど、同じ行為を繰り返すことがわかっています。

自分を責めることは、目標に対して逆効果となります。

 

失敗した自分を、まずは許してください。

失敗そのものではなく、失敗に対してどう行動したかが重要なのです。

【夢をかなえる手順とは】「夢をかなえるゾウ」

今回は、「夢をかなえるゾウ」について解説します。

この本は、ぱっとしない社会人である主人公のもとに、ガネーシャという神様が現れ、夢を叶えるために必要な課題を課していく、というストーリー形式の自己啓発本です。

 

ガネーシャは、体は人間ですがゾウの顔をしている、不気味な神様です。

 

私の実家にも猫の体に猫の顔がついた神様がいるのですが、いまのところ何も教えてくれません。

 

しかし、それが教えなのではないかと考えるようになりました。

 

それでは、ガネーシャの教えを、かいつまんで解説していきたいと思います。

 

「募金する」

石油王のジョン・ロックフェラーは、会社の買収を繰り返したことで世間からの評判が悪かったのですが、お金持ちになる前から、収入の1割を寄付し続けていました。

その習慣は子孫に受け継がれ、彼らも大きな成功を収めています。

誰かのためにお金を使うことで、他者への貢献感を得ることもできます。

当たり前の様に収めている税金も、自分を含めた誰かのために使われているはずですが、知らずに徴収されると、いまいち実感がわきません。

自分を変えたいときに、募金という行為は手軽に始めることができます。

 

 

「人が欲しがっているものを先取りする」

 

人の収入は、どれだけ他人の欲を満たせているかの指標です。

 

多くの人の欲を満たせている人が、大きな収入を手にするのです。

しかし、人の欲は目に見えません。本人が自覚していないことすらあります。

ヘンリー・フォードは、「もっと早く走れる馬が欲しい」という目に見えるニーズではなく、「より遠くまで快適に移動したい」という本質的なニーズを見つけ、そのニーズを満たすために車を生産して、成功を手にしました。

 

みなさんも、ヘンリー・フォードを見習って、私の潜在的ニーズを感じ取り、その欲を満たしてください。

 

「人を笑わせる」

笑いには空気を変える力があります。

以前、サウスウエスト航空は、自社の出した広告が他社の広告と類似しているということで、他社から訴訟されそうになりました。

その時、サウスウエスト航空の創業者ハーブ・ケレハーは、相手会社の社長に対し、腕相撲で決着をつけようと提案しました。

ケレハーは腕相撲には負けたものの、両社は和解に至りました。

 

私も、来たるべき戦いに備えて、毎日腕立てをしています。このブログに文句のある人がいた場合は、腕相撲で解決したいと思います。

 

先人に学ぶとは、こういうことです。

 

「1日何かをやめてみる」

自分を変えるには、何かを始めるだけでなく、何かをやめることも必要です。

ケンタッキーで有名なカーネル・サンダースは、カフェを経営していましたが、都市開発の影響によってカフェを閉店することになりました。

しかし、年金だけでは生活できないので、収入を得るためにカフェで人気だったフライドチキンのレシピを他のレストランに売ることで成功をおさめました。

 

何かをやめることで、新しい道が開けることもあるのです。

 

私の場合、毎月通っていたジムを退会しました。その結果、スマブラに費やす時間を確保することができ、かなり上達することができました。

また、仕事についても、遅くまで残業することをやめ、スマブラに費やす時間を確保することができ、かなり上達することができました。

 

「決めたことを続けるための環境を作る」

人は、意思の力だけでは、自分の意識を変えることはできません。

「これからは○○をする。○○をやめる」と意識を変えるだけでは不十分なのです。

本当に変わるためには、環境を変えることで、必ず目標を続けなければならない状況を作りだす必要があります。

タバコをやめたければ、タバコやライターを持ち歩かないようにしたり、タバコを買うお金を持たないなどの環境づくりが必要です。

 

「自分の得意なことを人に聞く」

自分が得意だと思っていることよりも、周りに必要とされている才能こそ、伸ばす価値があるのです。

そして、周りに必要とされている才能には、なかなか自分では気づかないものです。

自分では、できて当たり前と思っているところに、その人の強みがあるのです。

 

まずは人に自分の強みを聞いて、伸ばすべき才能を明確にしましょう。

 

ということで、私も伸ばすべき才能を知りたいので、是非みなさま、私の良いところをコメントしていってください。

 

「自分の苦手なことを人に聞く」

自分が苦手とすることについても、客観的な意見を聞く必要があります。

自分がうまくできていない部分も、自分ではなかなか気づかないのです。

自分の短所を知ることで、自分の能力がどの分野で発揮できるか分かるようになります。

 

連続殺人犯ですら、自分のことを優しい人間だと認識していた事例もあります。

自分のことを客観的に評価するのは難しいことなのです。

 

ちなみに、私の短所についてはコメントしていただく必要はありません。

 

「運が良いと思う」

自分は運が悪いと考えることは、自分には現状を変える力がないと認めることになります。

失敗の原因を、環境ではなく自分の行動に見出すことで、次からは同じ状況で成功できるようになります。

トーマス・エジソンは発明において数え切れないほどの失敗を繰り返しましたが、それは「成功ではないことを発見することに成功したのだ」と捉え、発明を続けました。

 

「ついてない」という言葉を口にする人は、環境に人生を支配されているのです。

 

「人の良いところを見つけて褒める」

人は自分の自尊心を満たしてくれる人の元に集まります。

鉄鉱王と呼ばれるアンドリュー・カーネギーは、子供のころウサギの餌を集める手伝いをしてくれた人に報いるために、ウサギにその協力者の名前を付けてあげました。

大人になって企業を買収合併するときも、相手方の企業名を残すようにして、自尊心を尊重しました。

行為そのものはなんの収益も生みませんが、周囲からの協力を得ることにつながりました。

 

相手の自尊心を満たすために、相手を褒めるというのは、大切なことであるとわかっていても、実践するのは難しいことです。

 

まずは、このブログを褒めちぎることで、褒めることの練習台にしてください。

 

「人の長所を盗む」

自分にばかり意識を向けてはいけません。

物事を観察するときに、大抵の人はベクトルが自分の方を向いてしまいがちです。

しかし、人を喜ばせるためには、意識のベクトルを外に向けなくてはなりません。

自分のことを見るのではなく、他人を観察し、人の良いところを見つけて、真似てしまうのが成功への近道になります。

 

 

「人気店に入り、人気の理由を発見する」

目の前の情報をありのままに受け取るだけでは、役に立ちません。

ビタミンCを最初に発見したアルバート・セントジョルジという科学者は「発見とは、皆と同じものを見て誰も思いつかないようなものを考えることだ」と言っています。

同じ情報から、他人とは違うアイデアを見出すことが重要なのです。

 

 

「人の成功をサポートする」

自分だけのために成功を求めてはいけません。

飛行機を初めて作ったライト兄弟は、飛行機製造の特許を取得した後、他社の特許侵害を抗議する訴訟を繰り返しました。

その結果、航空業界から孤立することになってしまいました。

 

対照的に、グレン・カーチスという人は、頼まれると簡単に物事を引き受けてしまうタイプで、電話機を発明したグレアム・ベルに頼まれて飛行機を作りました。

ライト兄弟とカーチスが裁判で戦った時、ヘンリー・フォード弁護団を用意するなど、誰もがカーチスを応援しました。

最終的に、航空会社として成功を収めたのはカーチスでした。

 

誰かのために行動することが、自分の成功につながるのです。

これ以上は言わなくても分かると思いますが、あえて言わせていただきます。

 

みなさん、是非私の成功をサポートしてください。それが皆さんの成功を後押しするはずです。

この本にそう書いてあります。

 

「毎日感謝する」

人の欲を満たすためには、まず自分の不足を満たす必要があります。

自分の不足を満たすためには、当たり前に感じている物事に対しても、自分が満たされているという感謝の気持ちを持つことが必要です。

感謝するという行為は、自分の不足を満たす行為なのです。

 

以上、夢を叶えるゾウでガネーシャが提示した課題について、抜粋したものを紹介しました。

 

しかし、これらの課題はすべて、主人公の男性が読んだ本の中に書かれていた内容でした。

 

成功の秘訣をいくら知っていても、実践しなければ何も変わらないのです。

 

この動画において、私もいくつかの課題を提示しました。

いいですか、実践しなければ何も変わらないのです。

 

あとは、わかりますよね?

 

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